失敗を避ける!サブスクリプションに向いているビジネスと、そうでないビジネス

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「自社のサービスはサブスクリプションに向いているか」を検討することは重要です。サブスクリプションが人気とはいえ、どんなサービスでも適しているわけではありません。どのようなビジネスが向いているのかを見極めるためのポイントをまとめました。

事業者側から見たサブスクのメリット

そもそもサブスクリプションは、事業者にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。そのメリットが是非とも必要なのか、それともあまり必要ではないのかによって「サブスクに向いているかどうか」の判断基準の一つともなります。

事業者側から見た主なメリットは以下の2点です。

繰り返し「売り込む」必要がない

サブスクリプションは定額制のサービスなので、継続的な収益が見込めるというのは、よくいわれるメリットです。

つまり一度購入したユーザーに対して、リピートしてもらうために継続的に営業をかける必要がなくなり、「いかに契約を継続してもらうか」に注力すればよいということです。

その点について、『サブスクリプション2.0 衣食住すべてを飲み込む最新ビジネスモデル』という本では以下のように述べられています。

一旦、新規顧客を獲得できれば「継続的な収益」を既に顧客から約束してもらっているので、マーケティングは「再度売る」から「退会しないように顧客を維持する」へと、方向が180度転換することになります。再度売り込み、買ってもらうことは、どんなビジネスでも容易なことではないので、この転換は大きな違いです。

―出典:日経クロストレンド『サブスクリプション2.0 衣食住すべてを飲み込む最新ビジネスモデル』日経BP.

もちろん「新規顧客を獲得」したり、「退会しないように顧客を維持」したりなどの戦略は必要ですが、従来のように次々と売り込んで再購入を促さなくても、継続的な収益が得られるという魅力があるのです。

データ収集ができる

サブスクリプションの場合、継続的に同じサービスを利用することになるので、特定のユーザーのデータ収集という点で優れた効果を発揮します。

動画のサブスクリプションなら、そのユーザーが好む映像作品の種類が分かり、アパレル系のサブスクリプションなら、そのユーザーにおすすめの服を提案できるようになります。

継続的なデータ収集によって、サービス内容をユーザーごとに調整してカスタマイズできるのも、サブスクリプションならではのメリットなのです。

サブスクの注意点・デメリット

サブスクリプションサービスを提供する事業者が注意すべきポイントや、デメリットについても検討しましょう。この注意点に対する十分な対策ができない場合は、失敗のリスクが高くなります。

乗り換えされやすい

サブスクリプションは違約金が発生せず、解約しやすいのが基本ですから、他のサービスに乗り換えられやすいというデメリットがあります。

サービス内容に不満が出たり、飽きたり、他に魅力的なサービスが出てきたりすると、乗り換えられやすいのです。継続性をいかに高めるかが、ビジネス成功のポイントといえます。

継続的な管理コストが必要

サブスクリプションは契約を継続してもらうことが重要なので、サポートやコンテンツの入れ替えなど、さまざまな「管理コスト」が必要という点は、考慮すべき注意点です。

デジタルコンテンツではなく、実際の商品を扱うサブスクリプションの場合は、在庫を管理するコストも必要になります。

「いかに加入してもらうか」にばかり目を向けるのではなく、「加入後にどうするか」「どのように管理していくか」にウェイトを置くことが重要といえるのです。

サブスクに向いているビジネスモデル

では具体的にどのようなビジネスがサブスクリプションに向いているのでしょうか。成功している事例に共通するポイントをまとめました。

定期購読・購入

雑誌の定期購読など、定期的に商品が届く「定期便」系のサービスは昔からあり、成功事例の多いサブスクリプションです。

同じ商品を定期的に届ける「消耗品モデル」と呼ばれるタイプと、さまざまなおすすめ商品を定期的に届ける「頒布会モデル」と呼ばれるタイプがあります。

消耗品モデル」は、定額制にすることで1個あたりの価格がお得になることや、買い物に行く手間が省けるなどのメリットがあり、人気のあるサービスです。

頒布会モデル」は、自分で良い商品を選ぶ自信がない人にとっては、プロに商品選びを代行してもらうような魅力があります。

大量コンテンツ選び放題

現在のサブスクリプションの王道ともいえるのが、映画や音楽など大量のコンテンツを見放題、聞き放題で利用できるというものです。

このタイプの場合、利用者にとってのメリットは、「失敗を恐れずに、新しい商品やコンテンツをどんどん利用できる」ということです。定額なので、選ぶのに失敗しても「買って損した」と思わなくて済みます。

つまりサブスクリプションは、「買ってみないと分からない」「見分けるのが難しい」ような商品に適しているといえるのです。

「映画が面白いかどうか最後まで観てみないと分からない」「好みの曲かどうか、フル尺聞いてみないと分からない」「試着してみないと分からない」などの悩みを、サブスクリプションが見事に解決してくれます。

またこのパターンのもう一つの特徴は、「ユーザーが常に新しいものを求めている」ということです。エンタメやファッションがそうであるように、ユーザーが常に新しい商品やコンテンツを求めている分野であることがポイントだといえます。

高級品を格安で使える

サブスクリプションで提供する商品は、安いものよりも高額な商品の方が適しているという傾向があります。

車やブランドバッグ、高級時計、高価なソフトウェアなど、従来は大きなお金を払わないと手に入らなかったものを、「買わなくても使える」という魅力が引き立つからです。

分割払いと比べると、サブスクリプションは「解約しやすい」という魅力もあります。つまりローンで家を買うか、賃貸にするかという違いと同じですね。サブスクリプションは賃貸と似た特徴があるので、ローンで家を買うよりも引越ししやすいというメリットがあります。

つまり「いろいろな商品に乗り換えてみたい」というニーズがある高額な商品なら、サブスクリプションに向いている可能性が高いでしょう。

例えば高級時計のサブスクリプションがそうです。さまざまな種類の高級時計を身につける生活は、昔はお金持ちにしかできませんでしたが、サブスクリプションなら毎月数千円などのお手頃価格で、それが可能になってしまいます。

サブスクに向いているかどうかの判断方法

では、これから始めようと思っているサブスクリプションサービスが成功するかどうか、「そのサービスがサブスクリプションに向いているかどうか」を判断するために参考となる基準を紹介します。

コスト面でのお得感があるか

まずはユーザーにとってお得感があるかという点です。

ユーザーは「その商品に対してこれまで毎月消費してきた金額よりも、サブスクリプションの月額料金の方が安いかどうか」を気にするからです。

お金についてだけでなく、買い物に行かなくて済むなどの「手間のコスト」に関する魅力があるかどうかも関係します。

ユーザーの選択肢は豊富か

サブスクリプションの魅力の大きなポイントは「選び放題」や「乗り換えしやすい」という点です。

その魅力を最大限に発揮するには、商品の種類が豊富だとか、選べるコンテンツ数が多いなど、ユーザーの選択肢が多いことが重要になります。

コンテンツ数を多く提供できないとか、選べる商品の種類を多くできないようなビジネスでは、サブスクリプションとしての魅力が減ってしまうのです。

高額商品かどうか

その商品が高額かどうかも、サブスクリプションに向いているかどうかの判断基準の一つです。前述のとおり高額アイテムほどお得感が出やすく、「買わなくても使える」という魅力が引き立ちます。

一括で買うには手が出ないような価格帯でなければ、サブスクリプションではなく「購入したほうがお得」と思われてしまうかもしれません。

とはいえ、ただ高ければよいということではなく、当然ですが「まとまったお金さえあれば購入したい」と思える、魅力ある商品である必要があります。

継続させる魅力があるか

サブスクリプションは継続することが重要です。そのため、継続してもらえるような、飽きられないようなサービスである必要もあります。

定期的に同じものが届く「消耗品モデル」であれば、その商品が生活の一部であり、「無いと困る」と思えるようなものでなければ、継続してもらうことが難しいでしょう。

また競合サービスが多いジャンルなら、「他社に乗り換えられないための工夫ができるか」も重要です。動画見放題サービスの場合、常に新しい作品の配信を続け、そこでしか配信されないような限定コンテンツなどを用意することによって、継続してもらうための工夫がなされています。

無料体験を提供できるかどうか

無料体験が提供できるようなサービスかどうか」という点も、サブスクリプショに向いているかどうかの判断基準の一つといえます。

サブスクリプションの弱点は、最初にクレジットカード情報や住所・氏名などのアカウント登録が必要であり、手続きが面倒であることです。この「最初の敷居」をいかに低くするかがカギとされています。

そのために無料体験期間を作るのは、定番の解決方法です。サービス形態として、「無理なく無料体験期間を作れるかどうか」を考えておくことが大切なのです。

管理コストが大きすぎないか

管理コストが大きくかかるサービスではないか」、かかるとしたら「それをまかなえるか」を考えることもポイントです。

しっかりしたサポート体制を作るためにかかる人件費や労力などの「人的コスト」も考慮します。

加入後に優れたサービスを提供できるかどうかが重要なサブスクリプションは、「管理コスト」「運営コスト」の見積もりをしっかり行うことが基本なのです。

失敗や撤退の事例

サブスクリプションサービスは人気ですが、成功事例ばかりではありません。サブスクリプションビジネスを成功させるための参考として、失敗事例についても紹介します。

アパレル系の事例

アパレル系のサブスクリプションで、失敗事例として有名なのはAOKIの「suitsbox」というサービスです。

月額7,800円~でスーツのセットをレンタルでき、月1回は無料で交換できるというサービス内容でした。

失敗の理由として指摘されているのは、スーツのバリエーションを多くできなかったことです。そもそもスーツというジャンルに限定されていて、しかもAOKIのスーツからしか選べないということで、ユーザーの選択肢が限定的であったことも影響しているでしょう。

また在庫管理などのコストが大きかったことも、原因の一つといわれています。

この事例からも、バリエーションを豊富に用意できるかどうかという点と、運用コストについて考えることの重要性が学べます。

閉鎖になったオンラインサロン

オンラインサロンとは、定額制で会員を集め、定期的なセミナーを開いたり、共通の趣味を持つコミュニティを作ったりするビジネスです。

有名人のオンラインサロンの場合は、ファンクラブのような意味合いもあります。

オンラインサロンは、だれでも気軽に始められるサブスクリプション制ビジネスとして有名です。そのため、よく考えずにスタートして失敗し、すぐに閉鎖になった事例が多いジャンルでもあります。

失敗の原因としてよくいわれるのが、「しっかり管理できなかった」というものです。つまり維持管理に多くのお金と労力が必要であるということを正しく理解していなかったということです。

サブスクリプションは「いかに継続してもらうか」、そのために「いかに維持管理していくか」が重要であることが、この事例からも学べます。

まとめ

サブスクリプションとして成功している、向いているビジネスは、以下のような特徴を持っている事例が多いということです。

  • 価格面でのお得感がある
  • ユーザーの選択肢が豊富
  • あこがれの高額商品である
  • 継続したい魅力がある